金重陶陽(1896–1967)は、岡山県備前市伊部に生まれ、近代備前焼の復興に決定的な役割を果たした陶芸家です。本名は勇。古備前、とりわけ桃山時代の力強い造形と土味を研究し、土の調整や窯の改良を重ねながら、衰退していた備前焼を芸術性の高い陶芸として甦らせました。また茶道を深く学び、茶碗・水指・花入などに備前の新たな茶陶の世界を築きました。1956年には備前焼で最初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、備前焼中興の祖と称されています。

陶陽の作品を前にすると、まず感じるのは土そのものが持つ力を、ほとんど削ぐことなく器へ変えたような強さです。釉薬を用いない備前の肌には、窯の中で生まれる胡麻、緋襷、焦げなどが自然の景色となって現れます。しかし決して偶然だけに頼ったものではなく、轆轤による堂々とした形には確かな統制と品格があります。

私には陶陽の作品は、古備前の形を再現したというより、桃山陶が持っていた土と炎の精神を現代へ呼び戻したもののように感じられます。素朴でありながら格調があり、使い込むほどに深みを増す。その静かな力強さこそ、金重陶陽の備前が現在まで高く評価される理由だと思います。

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金重陶陽

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