金城次郎(1912–2004)は、沖縄・壺屋焼を代表する陶芸家です。若くから壺屋で陶技を学び、柳宗悦や濱田庄司ら民藝運動の人々とも交流しながら、沖縄の暮らしに根ざした焼物を生涯作り続けました。1972年には読谷村に窯を築き、1985年、「琉球陶器」の技法によって沖縄県で初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。魚や海老を線彫りで生き生きと描いた作品は、金城次郎を象徴するものとして広く知られています。
金城次郎の作品を見ていると、土の素朴な温かさと沖縄の明るい生命力がそのまま器になったように感じられます。とりわけ魚文は、簡潔な線で描かれているにもかかわらず、魚が泳ぎ、時には笑っているような豊かな表情を見せます。壺や抱瓶、皿などには日常の器としての親しみやすさがありながら、力強い造形と釉薬の深い味わいが備わっています。
私には金城次郎の陶芸は、技巧を鑑賞させるためのものというより、沖縄の風土や人々の暮らしを素直に土へ刻み込んだ作品のように映ります。少し大らかで、どこかユーモラスな佇まいには人間味があり、眺めるほどに親しみが増していくところが大きな魅力だと思います。