福王寺法林(1920–2012)は、山形県に生まれた日本画家です。自然、とりわけ山岳風景を生涯の重要な主題とし、日本各地の山々に加えて、ヒマラヤへもたびたび足を運びました。実景を丹念に見つめながら、岩絵具の厚みや深い色彩を生かし、山を単なる風景ではなく、大地の力や時間の重みを感じさせる存在として描いています。日本芸術院会員となり、2004年には文化勲章を受章しました。
福王寺法林の作品を見ていると、山の大きさよりも、その場に満ちる静けさや緊張感が強く伝わってきます。峰や岩肌は重厚に描かれていますが、画面にはどこか澄んだ空気があり、自然への畏敬が感じられます。山を写した絵というより、人間の時間を超えて存在し続ける自然の強さを描いた作品のように映ります。雄大さと静寂が同時にあるところが、福王寺法林の大きな魅力だと思います。