片岡球子(1905–2008)は、北海道札幌に生まれた日本画家です。女子美術専門学校で学び、日本美術院を舞台に長く制作を続けました。若い頃には独特の色彩や形がなかなか評価されない時期もありましたが、自らの表現を曲げることなく、やがて力強い色と大胆な構成による独自の画風を確立します。富士山を繰り返し描いた「富士」や、歴史上の人物を個性的に捉えた「面構」シリーズで広く知られ、1989年には文化勲章を受章しました。
片岡球子の作品を前にすると、まず色彩の強さと画面からあふれ出すような生命力に圧倒されます。富士山も人物も、現実の姿を忠実に写すのではなく、作者が感じ取った存在の大きさや個性が、形や色を通して率直に表されています。私には、その絵は巧みに整えることよりも「自分にはこう見える」という感覚を貫いた作品のように映ります。大胆さの中に純粋な観察と情熱があり、見る者の記憶に強く残るところが片岡球子ならではの魅力だと思います。