石黒宗麿(1893–1968)は、富山県に生まれ、京都を拠点に活躍した近代日本陶芸を代表する陶芸家です。特定の師につかず、中国・唐宋時代の古陶磁を研究しながら独学で技術を究め、天目、鉄絵、木葉天目、千点文など多彩な技法を自在に展開しました。1936年には京都・八瀬に窯を築き、生涯にわたり独創的な作陶を続けています。1955年には「鉄釉陶器」の技法によって、制度発足時の最初の重要無形文化財保持者(人間国宝)の一人に認定されました。

石黒宗麿の作品には、中国古陶磁への深い敬意を感じさせながらも、古陶磁の再現だけには終わらない自由さがあります。とりわけ鉄釉の作品では、黒や褐色の釉調の中に炎による微妙な変化が現れ、静かな器面に豊かな奥行きを生み出しています。また千点文に見られるリズミカルな文様や、伸びやかな絵付けからは、陶芸家であると同時に書画にも親しんだ宗麿ならではの文人的な感性が感じられます。技巧を誇示するのではなく、一見素朴な器の中に気品と洒脱さを宿しているところが、石黒宗麿作品の大きな魅力といえるでしょう。近年のみならず昔から人気がある作家です。

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石黒宗麿

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