横山大観(1868–1958)は、茨城県に生まれ、近代日本画を代表する画家です。東京美術学校で学び、岡倉天心のもとで日本美術院の創設に参加しました。従来の輪郭線に頼る描き方から離れ、色や墨のぼかしによって空気や光を表す新しい日本画を追究しました。富士山をはじめ、山水や自然を雄大な構成で描いた作品が多く、日本画を近代へ導いた中心人物の一人です。1937年には第1回文化勲章を受章しました。
大観の作品を見ていると、風景の形そのものよりも、そこに漂う空気や精神的な広がりが強く伝わってきます。とりわけ富士を描いた作品には、山を単なる景色としてではなく、日本の象徴として大きく捉えようとする意識が感じられます。大観の絵は自然を写すというより、自然の姿を借りながら自らの理想や精神を画面に表した作品のように映ります。大胆さと静けさが同居しているところが、横山大観の大きな魅力です。