松林桂月(1876–1963)は、山口県に生まれ、明治から昭和にかけて活躍した日本画家です。野口幽谷に学び、南画・文人画の伝統を受け継ぎながら、山水や花鳥を中心に独自の画境を築きました。墨の濃淡と軽やかな筆づかいを巧みに使い、古典的な趣を残しつつも、堅苦しさのない伸びやかな表現を得意としました。1958年には文化勲章を受章しています。

桂月の作品を見ていると、墨一色に近い画面でも不思議なほど豊かな景色が広がります。山や樹木、梅や竹などは細かく描き込みすぎず、筆の勢いや余白によって空気まで感じさせます。私には、自然を写し取るというより、その場で得た気分や詩情を墨に託した作品のように映ります。古典的な文人画の世界を近代に生かし、静けさの中に自由な心を感じさせるところが松林桂月の大きな魅力です。

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松林桂月

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