六角紫水(1867–1950)は、広島県に生まれた近代日本を代表する漆芸家です。東京美術学校で学び、のちに同校教授として後進の育成にも力を注ぎました。日本古来の蒔絵や漆工技法を研究する一方、中国や朝鮮、さらに欧州の工芸にも目を向け、伝統を基礎にしながら近代的な意匠を取り入れた作品を制作しました。漆芸を実用品の装飾にとどめず、美術として自立した表現へ高めようとした点でも重要な作家です。

六角紫水の作品には、古典的な技法の確かさと、明治・大正期らしい新鮮な造形感覚が同居しています。蒔絵や螺鈿の華やかさを生かしながらも、文様の配置にはすっきりとしたリズムがあり、重厚になりすぎないところが印象的です。私には、伝統的な漆芸を深く理解したうえで、それを新しい時代の美意識へとつなぎ直した作品のように感じられます。技術の精緻さだけでなく、近代工芸を切り拓こうとする意欲が静かに伝わってくるところに大きな魅力があります。

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六角紫水

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