入江波光(1887–1948)は、京都に生まれ、大正から昭和にかけて活躍した日本画家です。京都市立絵画専門学校で学び、国画創作協会の展覧会では《降魔》が高く評価されました。1922年の渡欧ではイタリアの古代・ルネサンス絵画に触れ、その後の制作にも西洋絵画の構成感覚を取り入れています。一方で古画や仏画への関心も深く、晩年には法隆寺金堂壁画の模写事業にも携わりました。東洋の伝統と西洋美術の双方を自らの中で咀嚼し、静かな詩情を持つ独自の日本画を築いた作家です。

波光の作品には、人物や風景を強く演出するのではなく、画面全体を包む空気まで丁寧に描こうとする感覚があります。落ち着いた色彩と慎重に組み立てられた構図には静けさがあり、見るほどに奥へと引き込まれます。私には、古典を学びながらも古い様式に留まらず、東西の絵画から得たものを自分の感性で静かに溶け合わせたところに、入江波光ならではの魅力があるように感じられます。

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入江波光

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