初代伊東陶山(1846–1920)は、明治から大正期の京都陶芸を代表する陶工です。京都・粟田を拠点に、京焼の伝統的な色絵を受け継ぎながら、染付、白磁、色絵など幅広い技法を用い、近代的な感覚を取り入れた作品を制作しました。また粟田焼の振興や技術改良にも尽力し、1917年には帝室技芸員に任命されています。京都国立博物館には染付山水文四方花瓶などが収蔵され、その確かな造形と絵付けを見ることができます。
伊東陶山の作品には、京焼らしい繊細さの中に、明治という新しい時代へ向かう明るさが感じられます。端正な器形に山水や草花を配した作品は、絵付けが器を覆い尽くすのではなく、余白を残しながら静かに景色をつくっているところが印象的です。一方では、白泥を盛り上げて文様を表すなど、ヨーロッパ陶磁の影響もうかがえる意欲的な制作も行いました。
私には陶山の作品は、江戸以来の京焼の雅やかさと、近代工芸の新鮮な感覚が交差する場所に生まれた陶磁器のように映ります。華麗さだけでなく、どこか穏やかで知的な品格があり、明治京都の工芸が持っていた洗練を静かに伝えてくれるところに大きな魅力があると思います。