伊勢﨑淳(1936–2026)は、岡山県備前市に生まれた、現代備前焼を代表する陶芸家です。父は備前焼作家の伊勢﨑陽山。兄・伊勢﨑満とともに古い形式の穴窯を復元し、備前焼本来の土味や窯変を追究する一方、角形の花器や大皿、オブジェなど現代的な造形にも積極的に取り組み、伝統と革新を結びつけました。2004年に重要無形文化財「備前焼」保持者(人間国宝)に認定され、2025年には文化功労者に選ばれています。2026年7月11日に90歳で逝去しました。

伊勢﨑淳の作品には、備前焼特有の土と炎が生み出す力強さと、彫刻を思わせる明快な造形美が共存しています。とりわけ角花生などでは、鋭く削られた輪郭と、自然な窯変による柔らかな景色との対比が印象的です。無釉の土肌に現れる緋色、胡麻、焦げなどは炎の痕跡そのものであり、一見素朴でありながら、見る角度によって表情を変えていきます。古備前の精神を受け継ぎながらも過去の様式にとどまらず、備前焼を現代陶芸として展開したところに、伊勢﨑淳作品の大きな魅力があります。

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