東山魁夷(1908–1999)は、横浜に生まれ、戦後日本画を代表する風景画家です。東京美術学校で学び、日本各地をはじめ北欧やドイツなども旅しながら、森、湖、道、山などを静謐な画面へと描きました。現実の風景を細かく再現するのではなく、色や形を整理し、心に残った景色を一つの詩のように表すことを得意としました。とくに青や緑を基調とした作品には、深い静けさと清澄な空気が漂います。1969年には文化勲章を受章しました。
東山魁夷の作品を見ていると、風景の中に人の姿がほとんどなくても、不思議と人間の心の気配を感じます。道や森、湖面は単なる自然ではなく、記憶や祈り、孤独までも映し出しているようです。東山魁夷の絵は「景色を見る」というより、自分自身の内側を静かに見つめる時間を与えてくれる作品のように感じられます。澄んだ色彩と深い余韻が、長く心に残る大きな魅力です。