徳田八十吉は、石川県小松を拠点に九谷焼の色彩表現を発展させてきた陶家の名工です。初代以来、古九谷に見られる鮮やかな色の研究を重ね、その技術と感覚を次代へと受け継いできました。なかでも三代徳田八十吉は、器に絵を描くのではなく、釉薬そのものの色の重なりや移ろいを作品の中心に据え、九谷焼に新しい表現を切り開きました。青や緑、黄、紫などが境目なく溶け合う作品は、従来の色絵磁器とは異なる、抽象的で現代的な美しさを備えています。
作品を見ていると、色彩が器の表面に置かれているというより、内側から光を帯びて広がってくるように感じられます。華やかでありながら騒がしさはなく、むしろ深い静けさがあります。九谷焼の伝統色を受け継ぎながら、それを風景や文様ではなく、純粋な色の世界へと変えているところに、徳田八十吉ならではの魅力があると思います。