黒田辰秋(1904–1982)は、京都に生まれた木工芸家です。若くから木工と漆の技法を身につけ、柳宗悦や河井寛次郎ら民藝運動の人々とも交流しながら、家具や盆、箱、器など幅広い作品を手掛けました。欅や栗など木そのものの力強い木目を生かし、拭漆や螺鈿を用いながら、装飾に頼りすぎない堂々とした造形を築いたことが大きな特色です。1970年には重要無形文化財木工芸の保持者に認定されました。

黒田辰秋の作品を見ていると、まず木という素材そのものの美しさに目を向けさせられます。厚みのある板や力強い木目を隠さず、むしろ造形の中心として生かしているため、家具や器にも彫刻のような存在感があります。一方で、実際に使うことを意識した落ち着きや温もりも失われていません。私には、黒田の作品は用いるものと鑑賞するものの境界を自然に越えた工芸のように感じられます。素材への深い理解と、余計なものを削ぎ落とした力強い美しさが大きな魅力です。

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黒田辰秋

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