杉山寧(1909–1993)は、東京に生まれた日本画家で、昭和期の日本画に重厚で現代的な表現を持ち込んだ作家です。東京美術学校で学び、初期には花鳥や人物を描きましたが、のちにエジプトやインドなどへの旅行を重ね、異国の風景や人物、建築を主題にした大画面へと作風を広げました。岩絵具の質感を生かしながら、形を大きく捉え、静かな緊張感を持つ画面を作り上げたことに特徴があります。1974年には文化勲章を受章しました。
杉山寧の作品を見ていると、色彩や形が派手に動くのではなく、画面全体がゆっくりと呼吸しているような印象を受けます。人物や建物には確かな量感があり、背景まで含めて独特の静けさが広がっています。杉山寧の絵は日本画の伝統的な素材を使いながら、彫刻や壁画のような強さを備えた作品のように映ります。落ち着いた画面の中に、見る者を引き込む深い緊張感があるところが大きな魅力です。