山口華楊(1899–1984)は、京都に生まれ、近代京都画壇で活躍した日本画家です。西村五雲に学び、動物を主題とした作品で独自の世界を築きました。鹿や猿、牛、鳥などを細やかに観察し、その姿形だけでなく、動物がふと見せる緊張や安らぎまで画面に表したことに特色があります。写生を大切にしながらも、単なる写実にはとどまらず、静かな構成と落ち着いた色彩によって、品格ある動物画へと高めました。1980年には文化勲章を受章しています。
華楊の作品を見ていると、動物が「描かれた対象」というより、一つの意思を持ってそこに存在しているように感じられます。毛並みや姿勢は丁寧ですが、細部の技巧よりも、目線や間の取り方に生き物らしい気配があります。動物を人間の感情に寄せすぎず、それぞれの生命を静かに尊重して描いたところに、山口華楊ならではの魅力があるように思います。