加藤土師萌(1900–1968)は、愛知県瀬戸に生まれた昭和を代表する陶芸家です。中国や日本の古陶磁を丹念に研究し、とりわけ明代の色絵磁器に強く惹かれ、失われていた黄地紅彩や萌葱金襴手などの高度な技法を現代に蘇らせました。単なる復元にとどまらず、古典の格調に自身の洗練された色彩感覚と意匠を加え、独自の色絵磁器を確立しています。1961年には色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
加藤土師萌の作品を見てまず感じるのは、鮮やかな色彩の奥にある知的な緊張感です。赤、黄、緑、金といった強い色を用いながら、決して派手さだけに流れず、文様と余白が緻密に組み立てられています。とりわけ黄地紅彩や金襴手の作品には、中国古陶磁への深い敬意と、それを自分の表現へ変えていこうとする強い意志が感じられます。
私には、土師萌の作品は古陶磁を研究する学者の眼と、美を生み出す作家の感性が一つになった陶芸のように映ります。華麗でありながら品格を失わず、細部を見れば見るほど技術と意匠の奥深さが現れてくるところに、加藤土師萌ならではの魅力があると思います。